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 ONLINE 23-1  感性と感覚 1  

 感性と感覚は似て否なるもの。
 どちらも磨く事ができどちらも細かい部分の領域なのですが片方は頭片方は身体のものです。
 まずは感覚、身体の方について話をしたいと思います。
 感覚というと指先の様な接触系の感覚を想像しがちですが、声の場合は身体の内側の感覚で
 訓練や経験で磨かれていきます(稀に生まれつき感覚を持っている人もいます)。
 訓練の仕方や磨き方にはこつがあります。
 「習うより慣れろ」はまさしくそのこつを教えてくれる言葉です。
 感覚は考えても身に付きません。とにかく経験する事で身に付くものです。
 ではどうやってその感覚を身につけるのかを具体的に考えてみましょう。
 まず感覚は学習するのでも覚えるものでもなくつかむものです。
 考えてもつかめないものだと言う事を認識する事から始まります。
 次に「いい時」、つまり「いい声」が出る時は実は感覚がありません。
 それに最初は良く言う偶然、突然に出て来ます。意識する事で出る訳ではないのです。
 だからと言って無意識にすればいいというわけでもありません。
 単純な動作を繰り返す事が基本です。テニスならば素振りを繰り返すのと同じですね。
 筋肉がその動作を覚えて無意識で出来るようになる事が最初。声の場合も同じです。
 その声を出す時の筋肉の状態を身体に覚えてもらうわけです。
 次に重要なポイントは時期です。物事には時期があります。
 大事な事はその時期を見極めて逃さない事です。
 ゆっくりと基礎を積むべき時期もあれば畳み掛けた方がいい時期もあるのです。
 なかなか変わらない時は思いきって違う事をした方がいい時期もあります。
 思いきって休む事も時には必要です。
 やり方もしかり。こだわるやり方もあれば、こだわらないやり方もあります。
 また向き不向きがあるので人によっても変わってきます。
 指導者はそれらを客観的に判断してくれますが、1人で練習をしている時はその見極めが
 大きな別れ目になります。
 ただ基本はあくまで単純な同じ動作を繰り返す事です。
 何回も繰り返してきた言葉ですが感覚を身につける時にも基本になります。
 そして一番重要な事は「感覚がない感覚」を感じる事が大切だという事です。
 言い替えれば感覚を磨くという事はわずかないつもとの違いに気付く事なのです。
 指先の感覚も同じです。本物はいびつではなく滑らかで感覚がないものなのです。
 だからつかめないと言ってもいいのかもしれません。
 ほとんどの人は分かりやすい力の入った感覚を本物と勘違いしてしまいます。
 感覚は心も身体もいじめ抜かないといけない様な感じがありますが
 実は身近にも存在しているもので非常にシンプルで軽いものです。
 長く訓練された感覚が研ぎすまされたと言う言葉で表現されているのです。
                                        misuzu

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 ONLINE 23-2  感性と感覚 2    

 さて今回は「とぎすまされた感覚」と「もうひとつの感覚」についてお話します。
 前回「とぎすまされた感覚」とは違うと書きましたが、もちろんこの感覚も磨かれた
 本物の感覚です。
 ただ感覚を維持していく為に非常に強靱な肉体と精神力と何より訓練が必要です。
 そしてそれは誰にでも出来るものではありません。
 いつも自分をストイックな状態にして置く事が必要です。
 一定の緊張を保つ事によって感覚を鋭くする事が出来るのです。
 ただ日常の中でも緊張感を保つ必要があります。
 稀に一瞬の間に高い緊張感を持つことが出来る人切り替えの上手い人がいますが
 ほんとうに稀でほんとんどの場合は訓練されたものです。
 逆に言うと訓練で緊張感を持つ事が出来るのです。
 さて、なぜ「とぎすまされた感覚」を持つ事は難しいのでしょうか?
 緊張をしている状態は身体に力が入っている状態で精神的にも張りが強い状態です。
 あなたはこれをゆるめる事なく1日をすごせますか?1週間は?1ヶ月は?
 人前では緊張を持続出来るとしてもどこかでゆるんでしまいませんか?
 それが難しい理由です。
 でも絶対出来ないわけではありませんから挑戦してみるのもいいと思います。
 もうひとつ難しい理由は緊張状態をもし仮に10年続けたとしたら、身体も心も緊張状態で
 固まってしまいいびつな状態になってしまいます。
 普通の人なら長続きしないというわけです。
 では「もうひとつの感覚」とは何でしょうか。実は身体は一定のサイクルで動いています。
 ひとそれぞれ微妙に違うのですが一定のリズム間である動きをしているのです。
 実は人の身体の中に一定にリズムを刻んでいるものがあります。心臓です。 
 気づいた人もいると思いますが、心臓の動きは一定のテンポを刻んで動いています。
 人間の身体は自然にリズムをとっているものなのです。
 そのリズムに気付けば人は楽に身体を動かす事ができ、感覚を解き放つ事が出来ます。
 一定のリズムの上に乗っている状態は非常に楽で安定したものなのです。
 この話はもっと違う世界に通じる話ですが別の機会にして話をもとに戻しましょう。
 ではどうやって感覚を解き放つ事が出来るのでしょうか?答は慣れと経験です。
 生まれつきバランスのいい人や感覚のするどい人以外は繰り返して行なう動作を
 身体が覚えていく事によって安定した状態を作り出す事が出来ます。
 複雑な動きも実は単純な動きの組み合わせや集合体です。
 大切なことは「単純な動きを繰り返す」です。
 日常の繰り返しは安定を生み出します。ただ安定にもレベルがあります。
 これはとても難しい話ですがこのレベルを上げて行く事が歌も声も人としても 
 レベルを上げて行く事に直結します。
 ただまずは最初の安定の感覚と位置を掴む事から全ては始まります。
 そして「もうひとつの感覚」は年をとって筋力が落ちても新しいバランスで安定する
 事が出来ますし、その日の体調でバランスを変える事も可能です。
 更に身体の安定を得るという事は心の安定にも繋がります。
 さてあなたはどちらの感覚をつかみますか?
                                        misuzu

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